あゆの日記

—— つきみや あゆ ——

きょう、あなたにあったよ。
まちのちいさなパンやさんのまえ。
あゆは、たいやきをかおうとしてたの。
でも、さいふをおとして、こまってたら……
あなたがひろってくれた。

「これ、きみの?」って。
そのこえが、すごくやさしくて。
あゆ、かおがあかくなったのがわかったよ。

おれいをいったら、あなたはわらって、「たいやき、たべる?」って。
うん、たべる。あゆは、たいやきがだいすきなんだ。

それから、ちょっとだけいっしょにあるいた。
なまえもしらないのに、なんだかずっとまえからしってるみたいだった。

—— ふしぎなきもち。

また、あなたにあったよ。
こんどは、えきまえのほんやさん。
あゆ、えほんをよんでたの。『ほしのおうじさま』。
あなたも、そのほんがすきだっていった。

「あゆは、ほしがすき?」ってきかれた。
うん、すきだよ。とくに、つきがすき。
だって、あゆのなまえには「つき」がついてるからね。

「じゃあ、こんど、いっしょにほしをみにいかない?」
「……うん、いきたい。」

やくそくしたんだ。あしたのよる、あのおかのうえで。
あゆ、すごくたのしみ。

—— きっと、わすれない。

あめがふってた。
でも、あゆはいったよ。やくそくしたから。
かさをさして、おかのうえでまってた。

あなたは、こなかった。
きっと、あめのせいだよね。それとも、わすれちゃったのかな。

でもね、あゆは、ずっとまってたの。
いちじかん、にじかん……
あめがやんで、ほしがみえはじめても、あなたはこなかった。

あゆ、ないた。
でも、なきながらおもったんだ。
また、あえる」って。

—— しんじることにしたの。

きょう、あなたにあったよ。
あのひから、ずっとまってた。
えきまえのベンチで、あゆはまた、『ほしのおうじさま』をよんでた。

あなたが、いきをきらしてかけてきた。
「ごめん、あゆ! あのひ、どうしてもいけなくて……」

あゆ、くびをふった。
「ううん、だいじょうぶ。だって、またあえるって、しんじてたから。」

あなたは、なきそうなかおでわらった。
そして、いったんだ。

「こんどこそ、やくそくする。ずっと、あゆのそばにいるって。」

ゆきがふってた。
でも、とってもあたたかいきもちでいっぱいだった。
これが、あゆの、ほんとうのものがたり。

—— おわらない、やくそく。
—— いつも、あなたをおもっている ——
つきみや あゆ